2015年9月9日 持続可能なデザイン

ボクが趣味で雑誌を作っていることや、海外に派遣されたときにきれいな週報を作っていることの影響だと思うんだけど、社内報の作成を命じられている。ありがたいことだ。でも、個人的な趣味の世界と会社のお仕事の世界では「持続可能性」の考え方が大きく違う。

たとえば、去年までつくっていたイベントのポスターも、会社パンフレットやウェブサイトのデザインも、今回の会社の社内報もそうだけど、もしも一度限りのことであれば、ボクもPhotoShopやIllustratorを駆使して、凝ったものを全身全霊でつくるだろう。でも、会社のお仕事の場合、実際には一度限りではなくって、今後も続いていく。ボクの手を離れて、ボクがいなくなっても、誰かがそれを受け継いで、作業に従事する。そのときに、才能がなくても、技術や知識がなくても、ある程度、形になるような仕様にしなければならない。

デザイン会社に委託するみたいなお金の掛け方が許されるなら、そんなことは考えなくてもいい。でも、大抵の場合、ボクに頼む時点で、「出来る人がいるじゃん! 経費を掛けずに出来る社員でやろう」という安直で浅ましい発想がある。それでいて、ボクの趣味の世界でのクオリティを期待される。でも、それはとても難しいし、しんどい。

いろいろと思案しながら、WordやPowerPointを使って出来る範囲でデザイン作業を進めている。そうしたら、本日、社長から、他社(かなりの大手)の社内報をサンプルとして提示される。本格的な、いわゆるそれなりの部署がデザイン会社に頼んでお金を使って作ったものだ。こんなものをゴールに提示されてしまうと、Wordで作ろうとしているボクとしては困ってしまう。ホント、困ったなあ。

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最近、佐野さんの五輪エンブレムの問題で、デザインの本質とは何か、みたいな議論が巻き起こっている。装飾だけではなく、課題解決や価値提案などのコンセプトも含めてデザインだ、というわけ。ボクはデザイナじゃないけど、でも、実は、ボクもそのとおりだと思う。今回の社内報で言えば「キレイさ」よりも「持続可能」が重視されるべきだ、とボクは思う。そのコンセプトや思考のプロセスをちゃんと説明することが、デザイナの仕事だと思う。