2020年7月8日 テレビ業界は芸能人を干せるのか!?

最近、アンジャッシュの渡部が「不快なスキャンダル」で活動を自粛している。いろいろな議論があるのは分かる。でも、ここではその是非は問わない。ボクが気になっているポイントは彼のやったことの是非ではなくって、テレビ出演者の反応の方だ。いろいろなことを言う。言いたい放題だな、と感じることもある。でも、それはそれでもいいと思う。でも、ひとつだけ気になっているのは、渡部のテレビ復帰の可能性についての議論だ。「ない」とか「無理」という発言をする出演者がいる。

テレビ業界って、不思議な業界だな、と思う。たとえば、スポーツ選手が不祥事を起こしたら、何ちゃら協会とかいうのが出張ってきて、不祥事を起こした人の処遇を決める。権利剥奪とか、出場停止とか、その裁量の是非はともかく、明確な決定が出される。多分、普通の会社でもそうだ。社員が何か悪いことをしたら、経営層が議論して、何らかの形で処罰される。それって明文化された「何か」になるはずだ。

渡部はプロダクション人力車の所属なので、おそらく、人力車の中で何らかの沙汰があったと考えるべきである。これは雇用契約上の瑕疵を問われる処遇である。出演している番組についても、おそらく制作の判断で処遇が決まる。テレビCMもそうだ。契約事なので、場合によっては違約金を求められる。いずれにしても、これらは明文化された処罰であって、個々の条件に応じて、責任者が決める。

一方で、テレビ業界への復帰の可否。これは誰が何に基づいて決めるのだろうか。ここが今回のボクの論点だ。たとえば、番組プロディーサーの立場からしたら、渡部の価値がなくなれば、二度と使わない。渡部の価値のひとつに「ネガティヴな感情を抱かれない」というのがあって、これは大きな強みだったと思う。彼が蘊蓄を披露しても、反感を買わない。そういう強みはあった。それが今回なくなったので、その点での彼の利用価値はなくなった。だから、プロデューサー目線で言えば、彼をそういう配置にすることはない。

でも、これは個人的な感想にもなるけど、アンジャッシュの「すれ違いコント」というのは、スタイリッシュだし、ボクとしては、まだまだ見たいと思っている。テンプレートが割としっかりしているので、真似をすることは容易だと思うけれど、でも、アンジャッシュのネタだというイメージが強いからこそ、多分、誰も真似ができない。物真似としては演じられても、持ちネタとしては演じられない。そういう意味じゃ、今後、「すれ違いコント」を生み出していけるのは彼らだけだ。

テレビ業界の「干す」という文化は、何となくの気分みたいなものだ。明確にいつまで、と決まっているわけでも、何が理由で、どうなったら解禁という明文化されたものはない。業界全体の雰囲気をみんなが忖度しながら、勝手に線引きしているものだ。そんなワケの分からないもののために、人間ひとりを潰すことに、ボクは違和感を覚えている。

そういう意味じゃ、松本仁志に喧嘩を売ったあっちゃんにしても、吉本興業に喧嘩を売った宮迫にしても、そして、今回、何だか知らないけれども上沼さんと揉めているカジサックにしても、YouTubeを主戦場にしてしまっているので、もう、そういうテレビ業界の曖昧な文脈には縛られない。そういう「気分」とか「雰囲気」からは逃げ出している。いっそのこと、気骨のあるプロデューサーで、テレビにおいてこういう人たちを使ってみて、「復帰の可能性はない」とか言っていた大御所の鼻を明かしてやって欲しいな、と切に思うよ、ホントに。

そういう意味じゃ、薬丸さんとかココリコ遠藤とかに、ちょっと失望した今日この頃。