2020年10月5日 インド神話に力を入れつつも……

ここのところ、ファンタジィ事典では「インド」に注力している。草野巧の『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』の索引でインドの項目に載っているものを全てやっつけながら、そこから派生していくものを潰していくという機械的な作業を進めている。そして、はたと困っている。

分類として「インド神話」という項目を立てている。ここにはヴェーダ神話とヒンドゥー神話が含まれる。それとは別に「仏教」という項目も立てている。けれども、この分類だと、厳密にはチュレルとかピシャーチャマサーンのような宗教学、神話学ではなくって、民俗学っぽいジャンルに含まれる現代に比較的近いところで信じられている(あるいは信じられていた)インドの妖怪の置きどころがない。歴史は必ずしも大昔のものではなくって、断絶せずに現在まで連綿と続いた地続きの存在だ。その途上にいる存在をうまく分類できない。仕方がないので、取り敢えずは「インド伝承」とでもしながら「インド神話」の中に仮置きしている。

昔、トルコに行ったときに、あの山にはゴルゴーンが棲んでいたなどと大真面目に現地ガイドに説明された。現地に根差した伝説みたいになっていて、すでに神話とは切り離されていた。ギリシアにも、ギリシア神話だけでなく、現在も巣食う妖怪や精霊たちがいる。そういうのはギリシア伝承とでもいいのだろうか。そういう意味じゃ、神話で分類していては、この辺が収まらない。そのうち、整理しなければいけないなあ、とは思っている。