2015年4月22日 アイダハルという未確認生物の正体!?

アイダハルという未確認生物がカザフスタンのコッコーリ湖に棲んでいるらしい。でも、英語で調べても「アイダハル」という表現に該当する英語には出会えない。大抵、コッコーリ・モンスターとか、コッコーリ・レイク・モンスターと表現されている。ネッシーではなくてロッホ・ネス・モンスターの方が世界一般で知られている名前なのと同様だ。ただし、ネッシー(Nessie)という表現自体は、日本だけではなくて、外国人が使っている例もあるが、アイダハルについては、ほとんど使われていない。どういうことだろうか。

悩んでいたボクは、ふと閃いた。カザフスタンはカザフ語の国なので、アイダハルをカザフ語にすればいいのである! キリル文字でアイダハルっぽい感じにして検索すれば引っ掛かるだろう。そうしたら、驚いたことに、google翻訳にカザフ語がある。だから、まずはこれでやってみたら、ビンゴだ!!

20150422

出た! Айдаһарだ。どうやら《竜》を意味する一般名詞らしい。こうなると、するするといろんなことが諒解されてくる。つまり、トルコのジャノと同じパターンじゃないか、と疑ってしまうわけだ。

トルコのジャノはワン湖に棲む未確認生物だ。トルコ版ネッシーみたいなやつ。ジャノという名称は、Van Gölü Canavarı(ワン・ギョリュ・ジャナワル)に由来していて、Van Gölüが《ワン湖》、canavarが《怪物》を意味する。従って、Van Gölü Canavarıを直訳すれば《ワン湖の怪物》ということになる。ネス湖の怪物、すなわちロッホ・ネス・モンスターと同じだ。

ところが、日本では、この「怪物」の部分だけを抜き出してきて、「ジャノワール」と呼んでしまっていて、誰がつけたのか、愛称「ジャノ」になっている。でも、これは明らかに誤りで、「ワン湖の怪物」を固有名詞的に「ジャノワール」と呼ぶということは、ネス湖の怪物を固有名詞で「モンスター」と呼んでいるようなものだ。

……というような事実は某ウェブサイト上で、トルコ在住の人と高野氏のトラブルですでに周知の事実なのだけれど、このアイダハルも同じパターンっぽいな、と思う。現地の誰かが「コッコーリ湖の竜」と呼んでいたのを、「竜」の部分だけ拾ってきてしまったのだろう。

ボクも含めて、事典をつくる人間は、とかく固有名詞を求めたがる。「テーバイの竜」とか「カウカソス山の鷲」とか「レルネー沼の水蛇」みたいな名前のない怪物よりも、ちゃんと固有名詞がばばーん、とあった方が格好いい。だから、無理矢理、固有名詞を引っ張り出す。そんな事情があったために、コッコーリ湖の「竜」は日本人の誰かによって「アイダハル」という名前を与えられてしまったのだろう。でも、現地でアイダハルを探しても、多分、コッコーリ湖だけに棲んでいるわけではないのだろうな、と想像する。