2015年1月3日 『狂宴封鎖的世界「シャングリ・ラ」』

鳥居みゆきの公演『シャングリ・ラ』のDVD、ナイジェリアに行っている間に発売されていたらしい。うっかり情報をもらすところだった。海外に行っていると、こういう情報に疎くなるからいけない。

もしかしたら、最初の3作品(「ハッピー・マンデー」、「告別式」、「再生」)の方が、鳥居みゆきの個性が際立っているかもしれない。「方舟」に引き続き、今回の「シャングリ・ラ」はかなり丸くなった。丸くなったから、まあ、見れる作品になった。ボクは「再生」が一番、好きだったかなあ。生きることの意味を問うような感じで、前向きになろうかな、という感じ。初期の頃のように内面に深く潜り込むよりも、社会との接し方の側に視点が向かっている感じ。それが「方舟」、「シャングリ・ラ」とどんどん広がって、社会風刺の色が強くなった。その分、鳥居みゆきの強烈な個性は薄まった。

でも、驚いたのは、鳥居みゆきが多才だ、ということ。ヒロシの物真似をしたり、友近のような外国人吹き替えネタをやってみたり、歌を歌ったり、踊ったり……。この人の引き出しの多さに圧倒される。そして、演技力の高さに、心はどんどんダークになっていく。

どこまでが素でどこまでが台本なのか分からないが、鳥居みゆきが本物の遊園地で、お化け屋敷とジェットコースターの体験レポートをさせられている、というのも、ちょっと斬新な企画だった。

難を言えば、最後のネタくらいは明るく終われば、作品としてもっと引き締まったのになあ。鬱々と真っ暗なまんま終わってしまって、ずるずると引き摺るような後味だ。