2025年5月28日 絵文字の歴史4:絵文字の進化と文字コードの壁

  

5月25日の絵文字の歴史3:ハートマーク事件とドコモ絵文字の誕生の続き。

docomo絵文字に倣って、J-フォン(後のvodafone、そしてsoftbank)とauもすぐに独自の絵文字を開発していく。

顧客はどのキャリアの絵文字がかわいいかで端末を選んだといっても過言ではなくって、当時の若かりしボクも例外ではない。ちぃ子(後の妻!)が「docomoの絵文字はかわいくない。Vodafoneの顔も四角いからやだ。auがいい」という理由で、auを選んだので、ずぅっとauを愛用していた。当時はdocomoはdocomo、vodafoneはvodafone、auはau同士でしか絵文字を送れなくって、他社の端末では文字化けする。だから、家族や彼氏彼女とキャリアを揃える必要があって、囲い込みが進んでいくわけだ。当時のボクたちは、誰がauユーザで、誰が非auユーザなのかを把握していて、auの人向けにはかわいい絵文字を送り、非auの人向けには顔文字を使って対応していたような気がする。写メが導入されたのもこの頃。当時としては画期的で、J-フォンが最初に導入したのだと記憶している。つまり、各社、差異化を図って顧客獲得を目指していたわけだ。

ここで、ようやく本題に入る。このように、各社が独自に開発した絵文字というのは、機種依存文字だ。統一的な文字コードの規格になっていないから、異なるキャリア同士では文字化けする。エンジニアとしては、ここは何とか乗り越えたかった課題だと思う。そりゃあ、当然、人間だもの。やっぱり他社の人とも同じ絵文字を共有したい。だから、絵文字の統一規格が必要になる。当然、そんな議論はあったはずだ。

ところが、ここで当時の技術者たちは別の方向に舵を切る。まず、2004年にdocomoがデコメールを始める。絵文字を文字ではなく、画像にして、メールに添付して、htmlで文字と文字の間に絵を突っ込むという暴挙に出たわけだ。続いて2005年には、softbankがサーバ上で他社宛てのメールの絵文字を自社の類似の絵文字に変換する「絵文字変換機能」のサービスを開始する。結局、ケータイ各社は統ー規格を作る方向にはならずに、バラバラのまま突き進むことになる。

けれども、絵文字利用の文化はどんどんと深化していく。ケータイの枠を飛び越して、SNSでも絵文字が使われるようになる。blogやfacebook、twitterを利用するときにも、日本人の若者たちは絵文字も使って記事を投稿するようになる。そんなニーズに応じる形で、各SNSプラットフォームも、どんどん絵文字の機能を展開していく。そんな困った状況の中、絵文字の国際規格化を推進する動きが出てくる。2010年に「Emoji」がUnicode 6.0に採用された。さてはて。