トリートーン

[ギリシア・ローマ神話]

名称Τρίτων(トリートーン)【古代ギリシア語】
容姿人間の上半身と魚の下半身を持つ。三叉の矛と法螺貝を持つ。
特徴海神の息子で、波を起こしたり鎮めたりすることができる。
出典ヘーシオドス『テオゴニアー(神統記)』、アポッローニオス『アルゴナウティカ』ほか

法螺貝を吹き鳴らして海を自在に操る海神!?

トリートーンはギリシア・ローマ神話に登場する半人半魚の海神。海神ポセイドーン(Ποσειδῶνアムピトリーテー(Ἀμφιτρίτηの息子で、上半身は人間、下半身が魚の姿をした若々しい神さま。一説によると、イルカの下半身であるとも言われている。彼は父親と同様、三叉の矛を持っている。また、海を自在に操ることができる法螺貝を持っていて、これを吹き鳴らすことで、波を起こしたり鎮めたりすることができる。

大洪水の後に水を引かせた!?

あるとき、リュカーオーン(Λυκάων)とその一族は人身御供の儀式を始めた。また、旅人に変身してやってきたゼウス(Ζεύςを騙し、人肉入りの料理を提供しようとした。これに腹を立てたゼウスは人間を絶滅させようと大洪水を引き起こした。このとき、デウカリオーン(Δευκαλίων)と妻ピュラー(Πύρρα)は方舟をつくって難を逃れ、トリートーンが法螺貝を吹いて水を引かせ、彼らを助けたとされている。

ヘーシオドスの『テオゴニアー』によれば、トリートーンは深海にある黄金の宮殿に両親と一緒に暮らしているという。また、アポッローニオスの『アルゴナウティカ』では、アルゴー号の冒険でイアーソーン(Ἰάσων)率いる乗組員たちが北風に流されて航路から外れ、リュビアの地で迷っていたときに、祈りを捧げたところ、トリートーンが現れ、地中海まで導いてもらったというから、航海を守護する側面もあるのかもしれない。

ラッパ吹きと競い合った!?

トリートーンは法螺貝と強く結び付けられていたようで、ラッパ吹きのミセーノス(Μισηνός)がトリートーンとラッパで競った話がある。神と競おうとした傲慢なミセーノスは、その勝利に敗れ、トリートーンによって海に放り投げられ、溺死したという。

《参考文献》