スリュム

[北欧神話]

名称Þrymr〔Thrymr〕(スリュム)【古ノルド語】
容姿巨人族。
特徴雷神ソールの槌ミョッルニルを盗み出し、返還と引き換えに女神フレイヤとの結婚を要求した。ソールに退治された。
出典「スリュムの歌(Þrymskviða)」

ミョッルニルを盗み出した巨人族!?

スリュムは、ヨートゥン族(霜の巨人族)の一人で、あるとき、雷神ソールからミョッルニルを盗み出し、その武器の返還と引き換えに女神フレイヤとの結婚を神々に要求した。「スリュムの歌」にそのエピソードが載っている。

あるとき、ソールが目を覚ますと、大切なミョッルニルが失くなっていた。ソールのあげた叫び声に駆け付けたロキは、事情を理解すると、フレイヤから鷹の羽衣を借りて、ヨートゥンヘイムを飛んでいき、ミョッルニルを盗み出した犯人が巨人族の王の一人・スリュムであることを知る。ロキに問い質されたスリュムは、ミョッルニル返還の条件として、フレイヤとの結婚を神々に要求した。神々は集い、対策会議を開き、ヘイムダッルの提案で、ソールがフレイヤの身代わりとして花嫁姿に扮してヨートゥンヘイムに向かうことになった。ロキも侍女に化けてそれに同行する。ヨートゥンヘイムでは、スリュムが結婚の宴の準備を進め、フレイヤの訪問を待っている。二人はそこに乗り込む。食事が供され、ソールは次々と平らげる。あまりの大食漢にスリュムが驚くと、ロキは慌てて「フレイヤ様は巨人国に来るのを心待ちにして8日間も何も食べていなかった」と説明する。スリュムはフレイヤに口吻をしようと花嫁のベールを取ろうとすると、ソールのあまりに鋭い視線に驚く。するとロキは「フレイヤ様は巨人国に来るのを心待ちにして8日間寝ていないのだ」と取り繕う。こうして、スリュムはまんまと騙され、婚礼の祝いとして、ミョッルニルを取り出し、披露してしまう。そこで、ソールはミョッルニルを掴むと、宴の場で大暴れし、スリュムや巨人族たちはソールによって殺された。

ミズガルズの城壁を建造した巨人もフレイヤを狙っていた!?

ちなみに、ミズガルズ(人間の国)をぐるりと囲う城壁を建造した山の巨人(名前は伝わっていない!)も、城壁の建造と引き換えにフレイヤ女神との結婚を要求し、失敗している。なお、フレイヤにはオーズという夫がいる。