タルタロス

[ギリシア・ローマ神話]

名称 Τάρταρος(タルタロス)【古代ギリシア語】
特徴奈落の神さま。この世界の最下層に横たわる。ゼウスに反逆した者を幽閉している。怪物テューポーンの父親。
出典出典:ヘーシオドス『テオゴニアー』(紀元前7世紀)ほか

この世界の最下層にある奈落の神さま!?

タルタロスはギリシア・ローマ神話に登場する奈落の神さま。あるいは奈落そのものを指している。この世界に最初に生まれた神々の一人で、カオス(穴っぽこ)に続き、ガイア(地)、エロース(性愛)と一緒に生まれたという。

ヘーシオドスが『テオゴニアー』が語る創世神話によれば、原初には何もなかった。しかし、あるとき、カオス(穴っぽこ)が生じ、その穴っぽこの中にガイア(地)とタルタロス(奈落)、エロース(性愛)が誕生したという。ガイアが出来上がった穴っぽこ(カオス)の中心に座を占めると、タルタロスは下降して下方に座を占めたという。その後、ガイアは単独でウーラノス(天)、オロス族(山々)、ポントス(海)を産んだが、ウーラノスはタルタロスとは反対に上方に座を占めたという。

古代ギリシア人の世界観によれば、タルタロス(奈落)は死者が向かう先であるハーデース(冥府)よりも更に下にあるという。ガイア(地)とタルタロス(奈落)の距離はウーラノス(天)とガイア(地)と同じだけ離れていて、具体的には、ガイア(地)から金床を落とすと、九日間落下し続け、十日目にやっとタルタロス(奈落)に達するという。

奈落はゼウスに刃向かった者たちの監獄!?

クロノスが神々の王だった時代には、ヘカトンケイル族(百腕巨人)やキュクロープス族(一眼巨人)がタルタロスに幽閉されていて、怪物カムペーが番をしていた。後にゼウスが彼らを解放したが、現在ではゼウスによってティーターン族(古い時代の神々)が幽閉されている。ヘカトンケイル族が番をしている。地震が起こると、古代ギリシア人はタルタロスに幽閉されているティーターン族が地下で暴れているためだ、と考えた。

人間でもタルタロスへ送られることがある。リュディア王タンタロスは神々をもてなすために自分の息子をシチューにして提供した罰としてタルタロスへ送られた。タンタロスは果樹の枝に吊るされていて、空腹から果樹に手を伸ばすと風が果樹を吹き飛ばす。沼の水は満ちてきて彼の顎までやって来るが、彼が水を飲もうと身を屈めると途端に引いていく。こうして彼は常に飢えていなくてはならないという。また、イクシーオーンは、あろうことかゼウスの正妻ヘーラーを誘惑しようとした。このため、タルタロスへ送られ、火が燃えさかる車輪に縛り付けられたまま空中を絶え間なく回転しているという。

最強の怪物テューポーンの父親!?

ギリシア・ローマ神話でゼウスを苦しめた最強の怪物と言えばテューポーンであるが、タルタロスはこのテューポーンの父親である。ティーターン族をタルタロスに幽閉してしまったゼウスに腹を立てたガイアは、ゼウスを倒すためにタルタロスと交わって怪物テューポーンを産み、オリュムポスに差し向けている。

《参考文献》