シルフ

[ヨーロッパ伝承]

名称Shylph(シルフ)、Shylphid(シルフィード)【英語】
容姿精霊。目に見えない。
特徴空気の精霊。
出典『妖精の書(Liber de Nymphis, sylphis, pygmaeis et salamandris et de caeteris spiritibus)』ほか

四大精霊の「空気」を司る精霊!?

シルフは空気の精霊である。もともとは民間伝承の産物というよりは、古い科学の産物としてうまれた存在といえる。

古代ギリシアの哲学者エムペドクレース(Ἐμπεδοκλῆς)は「四元素説」を唱えた。彼は、世界は火、水、空気、土の四大元素(リゾーマタ)から構成され、愛と憎しみによって結合したり分離したりしてできており、これらのリゾーマタは新たに生まれることもなければ、消滅することもないのだと主張した。この思想は長い間、ヨーロッパの科学者たちに支持されてきた。16世紀のスイスの錬金術師パラケルスス(Paracelsus)は『妖精の書』の中で、これらの四大元素には、それぞれに対応する精霊が棲んでいると主張した。すなわち、火にはサラマンダー(Salamander)、水にはウンディーネ(Undine)(あるいはニュムペー)、土にはノーム(Gnome)、そして空気にはシルフというわけである。

令嬢ベリンダを護って奔走!?

パラケルススは空気のように目に見えない存在としているが、比較的、女性の姿で想像されることが多く、その華奢な身体で風の中を自由に飛び回る。シェイクスピア(Shakespeare)の『テンペスト(Tempest)』に登場する風の精霊エアリアル(Ariel)は、風を自在に操り、嵐を引き起こす。これなんか、まさにシルフのイメージにぴったりである。

アレキサンダー・ポープ(Alexander Pope)の『髪盗人(Rape of the Lock)』には、主人公の令嬢ベリンダに仕える守護精霊としてシルフの一団が登場するが、その隊長は『テンペスト』に登場する風の精霊に因んでエアリアル(Ariel)と命名されている。ポープは気難しい女性は死後、シルフになると説明している。

《参考文献》