ムーサカ

[ヴェーダ・ヒンドゥー神話]

名称मूषकMūṣaka〕(ムーサカ)《ネズミ》【サンスクリット】
容姿トガリネズミ。
特徴ガネーシャ神の騎乗獣(ヴァーハナ)。

ゾウの頭を持った神さまを乗せるネズミ!?

ヒンドゥー神話の神々はヴァーハナと呼ばれる動物の乗り物(騎乗獣)に乗っている場合が多い。たとえば、シヴァ神は牛のナンディンブラフマー神はガチョウのハムサヴィシュヌ神は黄金鳥のガルダ、軍神スカンダは孔雀のパラヴァーニ、神々の王インドラも白象のアイラーヴァタを騎乗獣にしている。

ゾウの頭をしたガネーシャ神のヴァーハナはネズミ(厳密にはトガリネズミ)で、ムーサカと呼ばれている。もともと、このネズミは悪鬼で、ガネーシャに調伏されてネズミに姿を変えられたとされる。巨大な象の頭を持ったガネーシャが小さなネズミを御している、ということから、ガネーシャはどんなことでもできる、と解釈されているらしい。また、ネズミは暗闇を象徴していて、ガネーシャが暗闇を調伏した、と解釈することもあるらしい。ほかにもネズミは欲望の象徴で、ガネーシャは欲望を制御しているという考え方もあるという。

ガネーシャは南インドの伝統菓子であるモダカ(餡を小麦粉等で包んで揚げたもの)を非常に好む。《モダカを好む者》という意味の「モダカプリヤ」という別名まであるくらいだ。ある誕生日に、ガネーシャがモダカを大量に食べ、腹をパンパンに膨らませ、ムーサカに乗って大喜びで家に帰った。その途中、突然、蛇が道を横切り、驚いたムーサカはガネーシャを振り落としてしまう。ガネーシャの腹は破れ、食べた大量のモダカが飛び出してしまった。ガネーシャは慌ててモダカを拾って腹に詰め込むと、蛇で腹をぐるぐる巻きにした。それを見ていた月が笑ったので、ガネーシャは腹を立て、自分の牙を追って投げつけた。こうして月は満ち欠けをするようになったという。また、この出来事のために、ガネーシャの牙は1本、折れているのである。

ちなみにムーサカは厳密にはトガリネズミ、あるいはジャコウネズミであるようだ。トガリネズミはネズミとは異なる種で、鼻が尖っていて、むしろモグラに近い種である。