ミントゥチ

[アイヌ伝承]

名称Mintuci(ミンツ゚チ)、Mintuci kamuy(ミンツ゚チカムイ)【アイヌ語】
容姿子供ような背格好。禿げ頭。紫や赤の肌。鳥のような足。
特徴アイヌ伝承に登場する精霊。河童に似る。魚を支配し、豊漁を約束するが、人を水中に引き込み、水死させる。その正体は十字人形。

ミントゥチはアイヌ版の河童!?

ミントゥチ、あるいはミントゥチカムイはアイヌ伝承に伝わる川に棲む精霊。アイヌ版の河童(カッパ)とも言うべき存在である。背格好は子供のようで、頭には髪を生やしているが禿げ頭である。鳥のような足跡を残すという。両腕は体内で繋がっていて、片方の腕を強く引っ張ると抜ける。これは本土の河童の特徴に似ている。

ミントゥチは魚を支配する神さま!?

ミントゥチはアイヌにとっては魚を支配する神で、漁師に豊漁を授けるというが、その代わりに水死者も出すという。河童と同じように、人間や牛、馬などを水中に引き込むのである。しばしば、女性にとり憑いて、男性を誘惑することもある。また、霧の夜に前方に現れ、ついていくと隙をついて水中に引き込んだりする。

石狩地方の伝承では、毎年、水死者が多かったため、ミントゥチに別の土地に移るように言ったところ、確かに水死者は減ったが、魚が捕れなくなったという。

ミントゥチの正体は人形である!?

ミントゥチの正体は、実は十字人形である。江戸時代に本土の人々がアイヌと交易するために船で北海道にやってきた。その船には大勢の疱瘡神(天然痘を擬人化した神)も乗っており、一緒に北海道へやって来た。多くのアイヌの人々が天然痘に罹って死んだという。当時、オキキリムイ(オキクルミ)神がアイヌの土地を治めていたが、彼はヨモギを十字に組んで人形(チシナプカムイ)を造り出すと、次々に命を吹き込んで疱瘡神と戦わせた。アイヌでは、ヨモギが植物の中で最初に生まれたものと考えていて、魔除けの力があると考えていた。こうして疱瘡神たちは全滅したが、この戦いで水死した十字人形たちが、死後、ミントゥチになったという。

本土の河童も、安倍晴明や役小角などが仕事を手伝わせるためにつくった人形、と説明されることがあり、両腕が抜けるという特徴も、河童やミントゥチの正体が人形であることに由来していると考えられる。

河童は地方によって呼び名が異なるが、東北や北陸ではメドチなどと呼ぶ。これは水神である蛟(ミズチ)に由来していて、アイヌのミントゥチもこの系列に含まれると考えられている。