レーテー

[ギリシア・ローマ神話]

名称λήθη(レーテー)《忘却》【古代ギリシア語】
特徴冥府を流れる忘却の河。河の水を飲んだ死者は一切を忘却する。
出典ヘーシオドス『テオゴニアー(神統記)』ほか

冥府を流れる忘却の河!?

レーテーは水の精霊であるナーイアスの一人で古代ギリシア語で《忘却》を意味する。古代ギリシア人たちは、冥府ハーデース(Ἅιδηςには5つの河が流れていると考えた。レーテーとは、そのうちの1つの河である。この河の水を飲むと、一切の記憶を忘却するという。この河川は楽土エリューシオンに沿って流れていて、死者たちはこの河の水を飲み、生前の記憶を失うとされた。また、輪廻転生をする際、この河の水を飲んでから転生するため、前世の記憶を失うのだという。

ちなみに、冥府を流れるほかの4つの河川はアキレウスを不死身にした魔法の水が流れるステュクス河、渡し守カローンがいるというアケローン河、冥府の最下層を流れる嘆きの河・コーキュートス河、燃え盛る炎の河・プレゲトーン河がある。

《忘却》の水と《記憶》の水!?

一部の神秘主義的な宗教においては、レーテーと対になってムネーモシュネー(Μνημοσύνη (《記憶》という意味)の名前が挙げられている。ムネーモシュネーの水を飲むと全てを記憶できるようになり、全知になると信じられた。ボイオーティア地方にあるトロポーニオスの神託所の傍らには、この2つの女神と同名の泉があり、神託を受ける者は、《忘却》と《記憶》の2つの泉の水を飲む必要があった。

《参考文献》