ケンタウロス

[ギリシア・ローマ神話]

名称Κένταυρος〔Kentauros〕(ケンタウロス)【古代ギリシア語】
Centaurus(ケンタウルス)【ラテン語】
Centaur(セントール)【英語】
容姿半人半馬の種族。野蛮な遊牧民族。
特徴馬の首から上が人間の上半身に置き換わったような姿。
出典アポッロドーロス『ビブリオテーケー』ほか

半人半馬の野蛮な一族!?

ケンタウロス族はギリシア・ローマ神話に登場する上半身が人間、下半身が馬の一族。ほとんどの場合、野蛮な種族とされ、好色で酒好きの野蛮な存在として描かれる。元々はテッサリア地方のペーリオン山に棲んでいたが、ラピテース族との戦争を経て、アルカディア地方やエーリス地方に散り散りになっている。

ラピテース族の王子ペイリトオスの婚礼の儀に招待されたとき、ケンタウロス族は初めて飲んだブドウ酒に酩酊して、ペイリトオスの花嫁であるヒッポダメイアをさらうなどの狼藉を働いて婚礼の儀をめちゃくちゃにした。これが原因でケンタウロス族はラピテース族と戦争になり、結局、多くのケンタウロス族が殺され、一部のケンタウロス族はテッサリア地方を追われて、方々へ逃げたという。

英雄ヘーラクレースが12の難業の4番目でエリュマントスの猪の生け捕りをしたときに、アルカディア地方を訪問したヘーラクレースは、ケンタウロス族のポロンに助けを求めた。ポロスはケンタウロス族の共有の酒を預かっていたが、ヘーラクレースがこの酒を飲んだことによって、ヘーラクレースはケンタウロス族と争いになる。こうして、ケンタウロス族は英雄に追われ、さらに散り散りになる。

ネッソスというケンタウロスはヘーラクレースの妻を犯そうとして英雄の毒矢で殺されている。あるとき、ヘーラクレースは妻のデーイアネイラとともに旅をして、アイトーリア地方を訪れ、エウエーノス川を渡ろうとした。その際、ネッソスが渡し守を引き受け、デーイアネイラを乗せて川を渡るときに、デーイアネイラを犯そうとした。このため、岸から英雄に毒矢で射られている。

ケンタウロスの出生の秘密:イクシーオーン、女神ヘーラーを誘惑する!?

このように、ケンタウロス族が野蛮な一族なのは、もしかしたら、彼らの出生に理由を求めることができるかもしれない。ケンタウロス族はラピテース族の王イクシーオーンの子孫である。イクシーオーンはゼウスに天上に招かれ、神々との宴会に参加した。しかし、あろうことか、ゼウスの正妻ヘーラーを誘惑しようとした。ゼウスはイクシーオーンの企みに気付き、雲(ネペレー)をヘーラーに模して与えた。イクシーオーンが交わって、この雲から誕生したのがケンタウロス族である。ケンタウロス族の乱暴で好色な性格は、イクシーオーンの遺伝子を受け継いでいるのかもしれない。

ただし、出自の異なるケンタウロス族もいて、彼らは野蛮ではない。クロノス神の息子であるケイローンはアキレウスなどの数々の英雄を養育した賢人として知られている。また、シーレーノスとトネリコの精との息子であるポロスも人格者として知られている。