イルルヤンカ

分 類ヒッタイト神話
名 称 muš.il-lu-ya-an-ka(イルルヤンカ)《蛇》〔ヒッタイト語〕
※「muš」は「蛇」を表す決定詞なので発音されない。 Illuyanka(イルルヤンカ)【英語】
容 姿巨大な蛇。
特 徴嵐神と敵対し、酒に酔っ払ったところを退治される。
出 典『イルルヤンカの神話』ほか

嵐の神による竜退治!?

イルルヤンカはハッティ系神話に登場する大蛇の怪物。レリーフなどには巨大な蛇の怪物として描かれている。嵐神と敵対する存在として描かれる。

酔っ払ったら負けよ!?

嵐神による竜退治のエピソードは2つのヴァージョンが知られている。嵐神は、おそらくタルと呼ばれる神で、フルリ人はこの神のことをテシュブと呼んでいた。ある粘土板によると、この嵐神はキシュキルッシャという都市の覇権を巡ってイルルヤンカと争って敗れた。そこで娘であるイナラ女神にこの怪物を何とかするように頼んだ。イナラ女神は、記紀神話でスサノヲが八岐大蛇(ヤマタノヲロチ)を退治したときと同じように、イルルヤンカとその一族たちにたらふく酒を飲ませて酔っ払らわせ、人間の英雄フパシヤに怪物を縛り上げさせた。こうしてイルルヤンカは嵐神によって退治された。

奪われた目玉と心臓を取り返せ!?

もうひとつのヴァージョンでは、イルルヤンカは嵐神の目玉と心臓を奪うことにまで成功したという。嵐神テシュブはヘパトとの間にシャッルマという息子をもうけると、その息子をイルルヤンカの娘に嫁がせ、目玉と心臓を取り戻させた。力を取り戻した嵐神は再びイルルヤンカ一族と戦って退治したという。一説によれば、この戦いで息子のシャッルマはイルルヤンカ一族と一緒に嵐神に殺されたという。

ちなみに昔は「イルルヤンカシュ」と表記されることが多かったが、最後の「(シュ)」は主格語尾であるため、現在では通常、「イルルヤンカ」と呼んでいる。

《参考文献》

Last update: 2020/08/11

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