ギガース

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Γίγας 〔gigās〕(ギガース)【古代ギリシア語】
複数形:Γίγαντες 〔gigantes〕(ギガンテス)【古代ギリシア語】
容 姿鎧と槍で武装した巨人。後世には両足が大蛇の姿。
特 徴ゼウス率いるオリュムポスの神々を倒すためにガイアが送り込んだ巨人。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)など

大地から生えてきた巨人族!!

ギガースはギリシア・ローマ神話に登場する巨人族のひとつ。クロノスが天空神ウーラノスの男性樹を斬り落としたときに滴った血が大地に落ちて誕生した。ゼウスティーターン族タルタロス(奈落)に幽閉したことに腹を立てた大地の女神ガイアはギガースたちをオリュムポス山に差し向けた。ギガースたちは神々だけでは滅ぼせず、人間が味方になれば退治されると予言されていたため、ガイアはギガースたちが人間に滅ぼされないように薬草を探した。ゼウスは太陽、月、曙に出てこないように命じると、先に薬草を見つけて切り取ると、人間であるヘーラクレースを味方につけて戦い、ギガースたちを滅ぼした。この戦いは「ギガントマキアー(巨人戦争)」と呼ばれている。

ギガースは長い髭と髪をはやし、輝く鎧と長槍で武装している。初期は重装歩兵のような姿で描かれているが、後代になると、より巨大で、両足が大蛇(ドラコーン)の姿になっている。

古代ギリシア人は「ギガントマキアー」をしばしば文学、絵画や彫刻の題材に選んだ。ホメーロスはギガースの王としてエウリュメドーンの名を挙げている。アポッロドーロスは『ビブリオテーケー』の中で14人のギガースの名前を挙げている。その他の詩人もさまざまなギガースを登場させているが、中でもアルキュオネウスと呼ばれるギガースが強く、ギガースたちの居住地である「プレグライ」と呼ばれる野原にいる限り、無敵であった。そのことに気づいたヘーラクレースはアルキュオネウスを「プレグライ」から引っ張り出して殺した。ポルピュリオーンは、ゼウスが欲情を吹き込み、ヘーラーに欲情している間にゼウスが雷霆で打ち、ヘーラクレースが射殺した。エピアルテースはアポッローンが左眼を射て、その後、ヘーラクレースが右眼を射て殺した。エウリュトスはディオニューソスが杖で打ちつけ、クリュティオスはヘカテ―が炬火で打ちつけた。ミマースはヘーパイストスが溶鉱を投げつけ、エンケラドスはアテーナーがエトナ火山を投げつけて下敷きにし、ポリュボーテースはポセイドーンがニーシュロス島を投げつけて下敷きにした。それらをヘーラクレースは矢を射てとどめを刺した。

ちなみに英語の「Giant(ジャイアント)《巨人》」の語源は、ギガースに由来している。

代表的なギガースたち

名前の知られるギガースを以下に列挙する。

エウリュメドーンΕὐρυμέδωνギガースの王。
アルキュオネウスΑλκυονεύςヘーラクレースが退治。プレグライにいる限り無敵。
ポルピュリオーンΠορφυρίωνゼウスがヘーラーに欲情させ、その隙に雷霆で攻撃。
エピアルテースἘφιάλτηςアポッローンとヘーラクレースが射殺した。
エウリュトスΕὔρυτος
クリュティオスΚλυτίος
ミマースΜίμας
エンケラドスἘγκέλαδος
パッラースΠάλλας
ポリュボーテースΠολυβώτης
ヒッポリュトスἹππόλυτος
グラティオーンΓρατίων
アグリオスἌγριος
トオオーンΘόων

《参考文献》

Last update: 2021/06/17

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