ガルム

[北欧神話]

名称Garmr(ガルム)【古ノルド語】
容姿真っ黒く巨大な身体をした犬。胸元は血に染まっている。
特徴冥府の番犬。テュール神と相討ちになる運命を負っている。
出典『巫女の予言(Vǫluspá)』、『グリームニルの歌(Grímnismál)』、『バルドルの夢(Baldrs draumar)』『ギュルヴィのたぶらかし(Gylfaginning)』ほか

胸元を血に染めた冥府の番犬!?

ガルムは北欧神話に登場する冥府の番犬で、真っ黒く巨大な身体をした犬である。胸元は真っ赤な血で染まっているというが、これは死者の血であると解釈されている。『グリームニルの歌』の中では「犬の中では最高のもの」と讃えられている。

北欧神話では、名誉ある戦死者はオージン神フレイヤ女神の元に行くことが出来るが、老衰や病など、それ以外の原因で死んだ人間たちは、氷の国ニヴルヘイムにある冥府ニヴルヘル(あるいは単にヘル)に行くという。冥府ニヴルヘルは、女主人ヘルが統治しているが、ガルムは冥府の入り口にある切り立った洞窟グニパヘッリルに鎖で繋がれているという。

おそらく、ギリシア・ローマ神話の地獄の番犬ケルベロスと同様、許可なく冥界に侵入しようとする生者たちを追い払い、冥界から逃げ出そうとする死者たちを見張る存在なのであろう。実際、ガルムは『バルドルの夢』の中では、オージンが冥府に立ち入ろうとしたとき、激しく吠えて追い回している。

テュール神と相討ちになる運命!?

ガルムはラグナロクの際には自由の身となり、テュール神に襲い掛かる。そして、最期の力を振り絞り、テュールの喉を噛み切って相討ちになる運命にあるという。

《参考文献》

  • 『エッダ ―古代北欧歌謡集』(訳:谷口幸男,新潮社,1973年)