灰坊主(アクボウズ)

[日本伝承][妖怪]

名称灰坊主(アクボウズ)【日本語】
別称アク坊主(アクボウズ)(秋田県仙北郡、雄勝郡、岩手県九戸郡)、アグバンバ(青森県) 、灰ばばあ(ハイババア)(秋田県由利郡象潟町)、アマネサク(岩手県二戸郡)、アマンジャク(福島県)、ボコ(遠野地方)
容姿姿未詳。頭の上に口がついた化け物とも。
特徴灰をいじって遊んでいると出現する妖怪。戒めを破った人間を灰の中に引き込んで食べてしまう。

灰をいじったらダメだよ、と戒める妖怪!?

灰坊主(アクボウズ)は、秋田県や岩手県などの東方地方に伝わる正体不明の妖怪。囲炉裏の灰をいじると出現する妖怪なので、子供たちが灰をいじっていると「灰坊主が出るぞ」などと戒められた。地方によって呼び名は様々だが、灰の中に引き込まれて食べられてしまうという。青森県では「アグバンバ」、秋田県由利郡などでは「灰ばばあ(ハイババア)」と呼ばれ、頭の上に口がある妖怪で、灰をいじる子供を攫って頭上の口で食べてしまうという。灰をいじったときだけでなく、風呂に2回入ったり、一膳飯(仏壇に供えられたご飯)を食べたり、裸で便所に入ったりしても、「灰坊主が出るぞ」と戒められる地域(岩手県九戸郡など)もある。

ちなみに、同様の妖怪として「天邪鬼」が用いられる場合もあり、岩手県二戸郡では「アマネサク」、福島県では「アマンジャク」と呼ばれている。

いずれにしても、この灰坊主の系統の妖怪は「囲炉裏の灰をいじると化け物が出るぞ!」と注意喚起されるだけで、実際に出現したという伝承は確認されていないので、囲炉裏の灰をいじって遊ばないように戒める「しつけ妖怪」として生み出されたものなのだろう。

世界にもいる「しつけ妖怪」たち!?

このような「しつけ妖怪」は世界各地にあって、ヨーロッパでは「ナーサリー・ボギー(子供部屋のボギー)」などと呼ばれている。片付けをしない子供を食べちゃう妖怪(バグベア)とか、他所様のうちの木の実をもぎ取って食べると襲われる芋虫のような妖怪(オウド・ゴッギー)とか、遅くまで寝ないでいると目玉を刳り貫いちゃう精霊(ザントマン)など、数えれば切りがないほどいる。日本のナマハゲも、怠け者の子供を食べにやってくる恐ろしい鬼であり、これなんかも「しつけ妖怪」の仲間かもしれない。

《参考文献》