アエーシュマ

[ゾロアスター教]

名称Aeshma〔Aēšma〕(アエーシュマ)《怒り》〔アヴェスター語〕
容姿血塗られた棍棒を持つ悪魔。
特徴「暴力」を象徴する悪魔。家畜を害する。
出典『アヴェスター』ほか

「暴力」を象徴するゾロアスター教の悪魔

アエーシュマはゾロアスター教に登場する悪神。「暴力」などを象徴する悪魔で、血塗られた棍棒を持つとされる。原初の世界で、善霊スプンタ・マンユは「善」を選択し、悪霊アンラ・マンユは「悪」を選択した。下位の神々であるダエーワたちも「悪」を選択し、アエーシュマのもとに馳せ参じたという。『アヴェスター』の中では、英雄スラオシャやミスラ神の敵対者として描かれる。また、最終的には救世主(サオシュヤント)によって倒されるという。

アエーシュマは比較的、由緒正しい悪魔(?)で、ザラスシュトラ(ゾロアスター)の『ガーサー』にその名前を挙げられている。ザラスシュトラといえば、古代イランの宗教改革をした人。当時の宗教に、イニシエーションとして、酒を飲んで乱痴気騒ぎをしたり、複雑な儀式を執り行ったり、牛を生贄に捧げる一派がいたらしい。カラパン僧とかウシグ僧といった一派であるが、ザラスシュトラはそのような宗教を否定し、そういう一派が掲げるものを「アエーシュマ」と表現したわけである。だから、アエーシュマは狂乱とか暴力、不道徳を象徴する悪魔として描かれる。酔っ払って暴れると「アエーシュマに魅入られた」などと表現される。基本的にゾロアスター教では神酒ハオマを除き、アルコールは禁止されている。また、特にアエーシュマは家畜を害する悪魔とされる。聖なる牛を生贄にすることに対するザラスシュトラの強い否定の想いが込められていると言える。

ちなみに、ユダヤ教やキリスト教に登場する悪魔のアスモデウスは、このアエーシュマとダエーワに由来するという説もある。

《参考文献》