2017年2月9日 英語における「1.5個のりんご」は単数か複数か!?

パキスタンで日本語の活動計画書を英語に訳している。そこではたと気づいて立ち止まる。英語では単位にも複数形の考え方が適用される。例えば、1ガロンは1 gallonだが、40ガロンは40 gallonsである。「s」がつく。それならば「小数+単位」はどうだろう。たとえば10.6ガロンは10.6 gallonなのか10.6 gallonsなのか。

ウェブサイトでいろいろと調べてみたが、どうも明確には決まっていないようだ。各所で慣例が議論されていて、そのものズバリの回答は得られなかった。「小数は複数」というのが一般的というのが概ねの回答で、でも、一方では「1以下の小数は単数で、1以上の小数は複数」説を唱える人もいて、実のところ、何だかよく分からない。ウェブサイトの巡回の結果、昔はこの「1以下の小数は単数で、1以上の小数は複数」が一般的だったらしい。最近では「1以上でも1以下でも小数は複数」という人が多いらしい。要は慣例の世界である。

仕方がないので、パキスタン人に聞いてみた。そうしたら、少なくともパキスタン人は「小数+単位」は複数形にするらしい。仮に1以下の数字(たとえば0.5ガロン)も複数形にするという(0.5 gallons)。ちなみに彼曰く、1ガロンは1 gallonだが、1.0ガロンと書かれた途端、1.0 gallonsとする人もいるらしい。すなわち1.0ガロンは0.95〜1.0499……の間なので、単数ではないということらしい。そしてパキスタンでも「1以上でも1以下でも小数は複数」を採用しているとのこと。

まずは言葉があって、文法は後付で作られる。当然、言葉が生まれたときには小数の概念なんてなかったので、既存の文法の枠にはまらない、ということいなる。でも、時代は経った。国によって違うのかもしれないが、仮に慣行として「小数+単位」は複数扱いということになっているとして、後付でもいいから、明確に文法として定めるべきであろう。何しろ、学校に通っていれば、理系じゃなくなって、どうしたって記述する必要に迫られるはずだ。学生は疑問に思うはずだ。そして先生に問うのである。「せんせー、小数に単位をつけたときって単数ですかー? それとも複数ですー?」。先生は言葉に窮するはずだ。その辺を明確にしないまま、慣行に任せているのだとすれば、英語圏の人々は懐が広いな あ。

ちなみにgoogle先生は何と答えるだろうか。google翻訳に試しに「0個のりんご」「0.5個のりんご」「1個のりんご」「1.0個のりんご」「1.5個のりんご」と順番に打ってみる。「0 apples」「0.5 apples」「1 apple」「1.0 apple」「1.5 apples」との回答。0個はどうやら複数形らしい。そして1.0個は単数形である。ただし、1.0個の場合だけ、候補が出て「1.0 apples」も選べる。すなわち、一般的には「1.0 apple」だけど「1.0 apples」もあるということだろう。これがgoogle先生の現時点の答えである。