2015年1月30日 多様化は衰退ではなくって進化だッ!!

オリコンがミュージック・カードを集計しないという発表をしたらしいが、ボクはミュージック・カードなるものがあることすら知らなかった。完全に情報に乗り遅れている(笑)。

昔っから、エイベックスを中心に、音楽CDに特典としてDVDをつけたり、写真をつけたり、カードをつけたりしていた。握手権や投票権なんかがついてくる場合もある。それを疑問視する声は昔っからよく聞かれていた。でも、トレーディング・カードを主体にして、特典で音楽をつけてしまう、というのは逆転の発想で、ちょっと面白い。エイベックスが新モデルとして構築したシステムにオリコンがノーを突きつけた形になるわけだけど、でも、今更だ、とも思う。そもそも、投票権のために大量に購入したものを集計したり、A版、B版、C版、といろいろな版に対して集計することも、ボクとしては疑問だ。

「音楽は聴きたいが、DVDまでは要らない」というユーザは多いので、安価なCDのみのヴァージョンと、高価なDVD付のヴァージョンを用意するのは、顧客に選択肢を与えているという点で、レコード会社として、正しい選択だ、と思う。でも、CDのみのヴァージョンの音源と、DVD付のヴァージョンの音源で異なる仕様にして、コンプリートするためには両方を購入しなければいけない、というのは、ユーザ・フレンドリィではない。CDヴァージョンにも何らかの付加価値をつけた場合、それは特典Aと特典Bの選択を迫るものであって、特典Aと特典Bの両方を得たい人にとっては、同じ楽曲が含まれる無意味なCDをダブって持たされることになる。これはゴミの量産であって、ボクとしては受け入れがたい商法だ、と思っている。

価値観が多様化していく中で、みんながひとつの楽曲を良しとして共有するような時代は終わった。今は個々人が勝手に好きな音楽を聴く時代なのであって、Youtubeでは素人同然の人が楽曲を提供し、それを楽しむ人もいるし、今まではアンダーグラウンドに眠っていたような小さいライヴ・ハウスを基点にしていたようなアーティストも陽の目を見る可能性がある。そういう時代だ。ミリオン・セラーのように、万人に愛され、共有される楽曲は生まれにくい。でも、それは音楽の衰退なのではなくって、音楽の多様化。レコード会社にとっては売り上げを出しにくい社会なのかもしれないけれど、純粋に音楽を楽しむボクたち需用者サイドからすれば、良好な時代になった。その流れに抗おうとするから、変なことになる。テレビの視聴率とか、CDの売り上げで作品が評価できる時代ではないのだ。

だから、オリコンの発表そのものが、そもそもナンセンスな気がする。オリコン・チャートそのものが価値を持たなくなった時代なのだ。ミュージック・カードを含めようが含めまいが、ランキングは、時代のニーズを把握できるツールではなくなったのだ。ボクはそう思う。