2015年3月10日 スリュムの歌(Þrymskviða)

昨日の記事の続き。スリュム(古ノルド語で書けばÞrymr)と言えば、ヨートゥン族(霜の巨人族)で、雷神ソールからミョッルニルを盗み出して、武器の返還と引き換えに女神フレイヤとの結婚をアース族に要求する。このエピソードは「スリュムの歌(Þrymskviða)」に載っている。粗筋は次のとおりだ。

あるとき、ソールが目を覚ますと、大切なミョッルニルが失くなっていた。ソールの叫び声を聞いたロキは事情を理解すると、フレイヤから鷹の羽衣を借りて、ヨートゥンヘイムを飛んでいき、ミョッルニルを盗み出した犯人が巨人の王スリュムであることを知る。スリュムはミョッルニル返還の条件として、フレイヤとの結婚を要求する。神々は集い、対策会議を開く。ヘイムダッルの提案で、ソールがフレイヤの身代わりとして花嫁姿に扮してヨートゥンヘイムに向かうことになった。ロキも侍女に化けてそれに同行する。ヨートゥンヘイムでは、スリュムが結婚の宴の準備を進め、フレイヤの訪問を待っている。二人はそこに乗り込む。食事が供され、ソールは次々と平らげる。あまりの大食漢にスリュムが驚くと、ロキは慌てて「フレイヤ様は巨人国に来るのを心待ちにして8日間も何も食べていなかった」と言う。スリュムは口吻をしようと花嫁のベールを取ろうとすると、ソールのあまりに鋭い視線に驚く。するとロキは「フレイヤ様は巨人国に来るのを心待ちにして8日間寝ていないのだ」と取り繕う。こうして、スリュムはまんまと騙されて、ミョッルニルを取り出してしまう。ソールはミョッルニルを掴むと、宴の場で大暴れして、スリュムや巨人族たちを殴り殺すのである。

ゆるドラシルの今回のイベント名は「ドキッ!男だらけの結婚式」。花婿も花嫁も、花嫁に同行する侍女も、全部、男だから、そういう名前になっているのだろう。ヘイムダッルがソールの女装を提案しているのも神話のとおり。ロキが同行するのも神話のとおり。なかなか面白い企画である。ボクは今、ようやくソールが「女装トール」から「花嫁トール」に進化して、いよいよスリュムの館に乗り込むところ。今後、どういう展開になるのだろうなあ。楽しみだなあ(ワクワク)。